アーティストの原石による作品が一堂に集結し、毎年各方面で話題を集めている東京藝術大学の卒業・修了作品展(卒展)。優秀な作品は大学が買い上げ、また多くの美術関係者やギャラリストなども足を運ぶという。工芸や現代アート、建築、デザインなどに造詣の深いエディターのサウザー美帆さんが、そんな注目の卒展のうち、学部生作品の展示会場となった東京都美術館を中心にまわった。後編では、デジタル技術や現代ならでの素材を使った作品などから、気になったものをピックアップします!
デジタル技術で何を表現するか?
■テクノロジー×紙でグラフィカルに
■デジタル上の生き物と暮らす日が来る!?
現代のマテリアルを規格外に使う!
■注目の素材を使った、ただならぬ存在感
■丸の内のビル群に炭素繊維の膜を被せて
■文字情報を素材に作るものとは?
悠久の思いを今、この時代に表現する
■人々の信仰心をデザインで可視化
■溢れる愛を美しい本に綴じて
■誰しもが心の中に持つ、大切な人の面影
昨今はプロジェクション・マッピングやチームラボ的なビジュアル、VRやARなどが身近になっているゆえ、最先端技術を駆使した身体感覚刺激系の作品が多く見られるのではと思って出掛けたところ、実際は人の存在や手の感触が感じられるようなアナログな作品や、リアルな実体験に基づいたコンセプチュアルな作品に力を感じさせるものが多かった。時代や流行とは関係なく、アートの原点を思い出させてくれるそういった作品こそが、芸術を学ぶ学校の卒業制作に相応しいのかもしれない。
文・撮影/サウザー美帆
サウザー美帆(さうざー・みほ)
編集者。上智大学文学部史学科卒。「Esquire 日本版」元副編集長。上海在住を経て、現在は日本と中国双方のメディアの仕事に従事。専門分野は工芸、現代アート、建築、デザインなど。これまでに室瀬和美、加藤孝造などの人間国宝や、安藤雅信、赤木明登、三谷龍二など日本各地の工芸作家や職人100人以上、杉本博司、蜷川実花、荒木経惟、上田義彦、奈良美智、千住博、名和晃平などの現代アーティスト、隈研吾、原研哉、深澤直人、ナガオカケンメイなどの建築デザイン関係者など多数を取材。著書に日本の伝統工芸を紹介する『誠実的手芸(誠実な手仕事)』(中国で出版)。
- 第68回 東京藝術大学 卒業・修了作品展 美術学部/大学院美術研究科修士課程
会期:2020年1月28日(火)〜2月2日(日)
会場:東京都美術館(学部)、大学美術館・大学構内(大学院)
https://diploma-works.geidai.ac.jp
※このイベントは終了しました。