アートを思いながらコーヒーを。上野の森のミュージアムカフェ

アートを思いながらコーヒーを。上野の森のミュージアムカフェ

「フェルメール展」や「ゴッホ展」といった話題の企画展がたびたび行われている上野の森美術館。JR上野駅公園口から徒歩約3分と“駅近”だが、動物園や博物館とは反対側にあるためか、上野公園の中では静かな雰囲気を醸している。そんなミュージアムの1階の奥に、「cafe mori」はひっそりとある。ここの自慢は丁寧に淹れたコーヒー。この一杯を味わうために、美術館を訪れてみるのはいかが?

さりげないこだわり。「cafe mori」のコーヒーとは

上野の森美術館のミュージアムカフェが現在のスタイルでオープンしたのは1993年。もともと「喫茶 森」という名前だったが、スタッフたちが「カフェ 森」と呼ぶのをきっかけに、最近になって「cafe mori」が定着したそうだ。かしこまらない感じが何だかいい。席は丸テーブル4、5卓と窓に面したカウンターに4席ほど。こぢんまりとしたカフェながら、一面の白い壁と、日がさんさんと差し込む大きな窓が印象的な気持ちのいい空間だ。メニューはドリンク類とスイーツのみ。展覧会の鑑賞後にちょっとした休憩をするための場所なのだろう。

キャンバスのような白い壁に囲まれた、明るい雰囲気のカフェ。

ここで飲むコーヒーが、熱々で、香り高くて、とても美味しい。横浜生まれの老舗自家焙煎豆ブランド「キャラバンコーヒー」のスペシャルティコーヒーを使っている。豆は日によって種類が異なるそうだが、スタッフが丁寧に、ハンドドリップで淹れている。

「“美味しいコーヒーを飲みながら、作品について語れるような時間と場所の提供を”がコンセプトです。お店が現在のスタイルになった時から、コーヒーは一杯ずつハンドドリップで淹れています。自称、“サードウェーブ系カフェより美味しいコーヒー”です(笑)」と話す、上野の森美術館広報の大柳幸子さん。

聞けば、新人スタッフは先輩からしっかり指導され、ドリップデビューできるまで2〜3カ月はかかるという。コーヒーの器具を一式揃えて自宅で練習するスタッフも多いとか。

「美味しさはスタッフの日々の訓練の賜物だと思います。それに、時々抜き打ちテストも行っているんですよ。味のバランスチェックは欠かさないようにしています」(大柳さん)

一人一人に心を込めて淹れるサービスは、小さなミュージアムカフェならでは。単品のコーヒーは500円、クッキーが1枚つく。ケーキセットは900円。

グッズコーナーやハーブティーも魅力

店内にはミュージアムグッズのミニコーナーもある。オリジナル商品に加え、国内外のブランドからセレクトした文房具や画材など、センスの良いアイテムをラインナップ。持っているだけでアートの世界に関われる気がして、ついつい欲しくなる。

左/西郷隆盛モチーフの一筆箋は、美術館オリジナル。右/国内外のブランドからセレクトした文房具。色鉛筆などの画材もある。なお、3月の「VOCA展」の時にはグッズコーナーが拡充される。

コーヒーのほか、ハーブティーやスイーツのアップルタルトも人気がある。また、3月には期間限定で「桜のモンブラン・ケーキ」が登場し、5月には窓に迫るように咲き誇るサツキの花を眺められるなど、四季折々の楽しみ方ができるのも魅力だ。「cafe mori」の利用には基本的に展覧会のチケットが必要だが、カフェを目当てにアートを見に行くというのもまた一興。静かに、穴場的な雰囲気を堪能したい、上野公園の秘密のカフェスポットだ。

ローズ&ハイビスカスティー650円。

文/森 麻衣佳 撮影/三吉史高

cafe mori

住所:東京都台東区上野公園1-2 上野の森美術館
営業時間:10:00〜16:45(時期によって変動あり)
定休日:不定休
*展示により入場券が必要です。
www.ueno-mori.org/shopcafe/

*この記事は2020年2月現在のものです。

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