隠れたアートスポット! 上野でいちばん身近なギャラリー

隠れたアートスポット! 上野でいちばん身近なギャラリー

観光情報から暮らしに関する些細なことまで、いつでも気軽に相談できる台東区役所。その1階に「文化の杜・上野」ならではのアートスペースがある。ようこそ、上野でいちばん身近なギャラリーへ!

朝倉文夫、金澤翔子、宮田亮平の作品を常設

東京国立博物館や国立西洋美術館、国立科学博物館など、数多くの美術館や博物館を擁する台東区。そんななかで、気軽にアートを楽しめるのが台東区役所の一角にある「台東アートギャラリー」。2005年のオープン以来、多くの人に愛されてきたこのギャラリーは、無料でありながら一見の価値ある名作が並ぶ隠れたアートスポットだ。
展示作品は、日本近代彫塑の基礎を築いた朝倉文夫の作品、第23回台東区福祉大会で記念講演を行った際、書家の金澤翔子が揮毫した「飛翔」、現・文化庁長官であり東京藝術大学学長も務めた金工作家、宮田亮平の「日輪」。さらに月替わりで、台東区長賞受賞作品や、東京藝術大学大学院の修了作品の一部として制作されたである敦煌莫高窟や法隆寺金堂の壁画模写を展示している。

書家・金澤翔子作「飛翔」(左)と金工作家・宮田亮平作「日輪」(右)
朝倉文夫作「餌ばむ猫」
朝倉文夫作「原題不明(眠る)」(※)。奥に展示されているのは台東区長賞受賞作品。右から、山崎秋人作「複合する平面と空間 落ち葉A-6」(平成8年度受賞)、塚本修央作「お祭り」(平成5年度受賞)

「台東区は昭和56年から台東区長賞という賞を設けて、東京藝術大学の優秀な卒業作品のなかから毎年、日本画1点、油画・版画1点を選出しています。台東アートギャラリーでは、毎年4月、5月にその最新受賞作品を、6月から翌年3月までは、過去の受賞作品と壁画模写を交互に展示しています。毎月、展示替えをしているので、楽しみにしてくださっている方も多いんです」(台東区文化産業観光部文化振興課連携担当係長・岩永幸子さん)

区内6カ所でも作品を展示

現在、区が所蔵するコレクションは台東区長賞受賞作品が延べ93点、壁画模写も約80点に上る。ただ、所蔵作品が毎年増える一方で、スペースに限りがあり、展示できる作品が少ないのが悩みだという。そこで、最近では台東区の小学校や中学校など区の施設6カ所に作品を展示し、さまざまな場所でアートに触れられるようにしている。

台東区文化産業観光部文化振興課の連携担当係長・岩永幸子さん(右)と主任・雨宮真実さん(左)

「子どもたちはもちろん、台東区役所にあまり足を運ぶ機会のない方にも作品を見ていただきたいという思いから、5年ほど前に台東アートギャラリー以外の場所でも展示を始めました。そこで興味を持ってくださった方は、きっと台東アートギャラリーも楽しんでもらえると思います」(台東区文化産業観光部文化振興課主任・雨宮真実さん)
いつでも気軽に訪れることのできる場所でありながら、知る人ぞ知るアートスポットでもある台東アートギャラリー。上野を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてほしい。

ギャラリー横の「SHOP たいとう」では、台東区にある朝倉彫塑館や書道博物館などのグッズも販売

文/奥田高大 撮影/三吉史高

台東アートギャラリー

場所:東京都台東区東上野4丁目5番6号 台東区役所(本庁舎)1階
時間:月・火・木・金曜日8:30〜17:15/水曜日8:30〜19:00/毎月第2日曜日9:00〜17:00
※展示替えのため、「原題不明(眠る)」は3月13日(金)までの展示になります。

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