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強運を呼び寄せる! 上野東照宮でパワーをもらおう
上野動物園の隣に、江戸時代から鎮座する神社があることを知っているだろうか? 徳川家康公(東照大権現)をお祀りする神社、上野東照宮だ。家康公の遺言で1627(寛永4)年に創建され、1651(慶安4)年に三代将軍・徳川家光公の命により、江戸庶民のための参詣所として豪奢な建物に建て替えられた。実は社殿など建物のほとんどが数々の戦火や自然災害を生き抜き、当時のまま現存している知る人ぞ知るパワースポット。そんな強運を誇る上野東照宮の中でもパワーみなぎる場所を、禰宜(ねぎ)の嵯峨まきさんに案内してもらった。
力強い昇り龍を拝んで運気上昇!
表参道入口にそびえ立つのは、関東大震災にもびくともしないほど頑丈だったという大石鳥居。その立派な鳥居をくぐると、参道の両脇に石灯籠や銅灯籠がずらりと並んだ風景が広がる。境内に石灯籠は209基、銅灯籠は48基あり、いずれも諸大名から奉納されたものだ。
表参道の突き当たりに見えてくるきらびやかな門が、「唐門(からもん)」(1651年造営、国指定重要文化財)だ。正式名称は「唐破風造り四脚門(からはふづくりよつあしもん)」。左右の柱には、江戸の名工・左甚五郎作といわれる龍の彫刻があしらわれている。
「偉い人ほど頭を垂れることから、向かって右にある頭を下に向けた龍が昇り龍。彫刻が生き生きとしているので、夜になると不忍池に水を飲みに行くという伝説もあるんですよ」(嵯峨さん)
家康公の月命日である毎月17日限定で、この昇り龍をデザインした「昇龍守」(1500円)を授与。数々の戦を勝ち抜いた家康公の強さ、災いから300年以上免れてきた上野東照宮の歴史にちなみ、強運・勝利・出世のお守りとして人気を博している。
タヌキでさらに運気アップ!
拝観料を払って入口を抜けると目に入ってくるのが、御神木の大楠だ。高さ25 m、幹の太さ8mの大樹で、樹齢は600年以上。上野東照宮の創建以前からあり、上野公園の中でも最も古い木だという。
嵯峨さんによれば、「近くにいるとよい気がもらえる」「落ち葉をもらうと健康になれる」など、数年前から御神木もパワースポットと呼ばれ始めたそうだ。幹の根元には野生のタヌキも住んでおり、見かけたらもっと元気になれるという噂もある。
タヌキといえば、大楠の近くにはタヌキの神様を祀った「栄誉権現社(御狸様)」も。御神体は安置される先々に不幸をもたらしていたが、大正年間に上野東照宮に寄贈されると転じて強運の神様になったと伝わる。タヌキは「他抜(他を抜く)」ということで、強運、受験や就職、必勝の神様として信仰されている。
上野動物園の協力で極彩色に蘇った透塀
社殿をぐるりと囲む塀は、「透塀(すきべい)」(1651年造営、国指定重要文化財)と呼ばれるもの。歴代将軍や諸大名らの参拝時に外側から警備できるようにと、内側が透けて見えるようになっている。
透塀の上段には野山の生き物、下段には海や川の生き物が彫られており、その数は全部で257枚。これらの彫刻は、狩野派の絵師、狩野探幽の指揮のもとに作られたという。
「別世界であることを示すために、透塀の内側にある社殿の彫刻は獅子や鳳凰など格の高い生き物。一方、外からも見える透塀にはスズメやカエルなど江戸の人々にとって身近な生き物が彫られています。なかでも珍しいのがカマキリの彫刻で、当宮と京都の石清水八幡宮にしかありません」と、嵯峨さん。
造営当時は極彩色で彩られていた透塀は、一時は弁柄色一色になったが、その後の修復で再び極彩色へと蘇った。その際、数の多い小鳥類は元の色味が不明だったため、上野動物園の協力のもと実物を確認して色付けすることもあったそうだ。
爆撃からも逃れた奇跡の社殿
透塀を抜けた先にある社殿(1651年造営、国指定重要文化財)は、日光東照宮と同じく、拝殿と本殿を幣殿(石の間)でつないだ「権現造り」。外壁には13㎝角の金箔を約11万枚使用し、「金色殿」とも呼ばれている。獅子や牡丹、鳳凰、家康公の力の象徴とされる鷹など、豪華絢爛な彫刻も必見だ。
社殿には、こんな奇跡的な逸話も残っている。
「東京大空襲の際、透塀と社殿の間に焼夷弾が落ちたそうです。幸いにも不発弾だったので事なきを得ましたが、爆弾が直撃しなかったことも奇跡だと思っています」(嵯峨さん)
300年以上もの間、幾度となく不思議な力で守られてきた上野東照宮。江戸の面影を残す創建当時の姿を参拝し、困難にも動じない強運をおすそ分けしてもらってはいかがだろうか。
文/岩本恵美 撮影/後藤武浩
- 上野東照宮
住所:東京都台東区上野公園9-88
開門時間:9:00〜16:30(10〜2月)、9:00〜17:30(3〜9月)
拝観時間:9:30〜16:00(10〜2月)、9:30〜17:00(3〜9月)
*社殿内は非公開。
www.uenotoshogu.com※この記事は2020年2月現在のものです。