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谷中の「七福猫」を探せ!
今も昭和の雰囲気が残る商店街として多くの人が訪れる谷中ぎんざ。上野からもほど近いこの街に、実は「七福猫」と呼ばれる猫が暮らしているのをご存じだろうか? 知る人ぞ知る、谷中で愛される猫の正体とは?
藝大生が制作した7匹の猫
日暮里駅から歩いて5分ほど、下町情緒あふれる商店街として連日多くの人で賑わう谷中ぎんざ。全長約170メートル、70軒ほどの店が連なるこの商店街には、串焼きやフライといった下町グルメがずらりと並び、店主のかけ声や街ゆく人の会話もどこか懐かしい。そんな古き良き東京が今も残る谷中ぎんざに欠かすことができないのが、猫。
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犬も歩けば……といわんばかりに、商店街を歩いてみれば、お店の看板からノボリ、バッグやスイーツにいたるまで、どこもかしこも猫、ネコ、ねこ! 谷中ぎんざ公式キャラクターの「せんちゃん」をはじめ、商店街には猫にちなんだグルメやグッズがひしめいている。そんな“猫天国”の谷中ぎんざにおいて、知る人ぞ知る存在が「七福猫」と呼ばれる7匹の木彫り猫。これは先々代の谷中銀座商店街振興組合理事長の「ヨーロッパの街にあるような象徴になるものを谷中ぎんざにも」という相談に東京藝術大学が協力し、2009年に学生たちが制作したもの。以来、十年以上にわたって、商店街で暮らしている。
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七福猫が会話のきっかけに
酒屋の屋根に、コーヒーの香り漂うレトロな喫茶店の軒先、老舗茶屋の入り口など、七福猫たちは住みかも大きさも形もさまざま。なかには商店街が賑わうあまり、人とぶつかって“ケガ”をしてしまった猫もいるが、それもご愛敬。谷中に暮らす人、訪れる人みんなに愛されている街の“隠れシンボル”だ。
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「昔はこのあたりは猫が多く、夕やけだんだんと呼ばれる階段のあたりは夕方になると猫がひなたぼっこにやってきたりしていました。そうしたイメージから、当時の学生が作ってくれたのが七福猫です。うちの店の猫は、作って下さった方が大学を卒業した今もメンテナンスに来てくれますし、お客さんからは、『ほかの猫はどこにいるんですか?』と聞かれることもあります。最近は野良猫も少なくなりましたが、これからも商店街ともども、たくさんの人にかわいがってもらえたらうれしいですね」(谷中銀座商店街振興組合理事長の福島正行さん)
芸術だけでなく、人と人とのつながりや、懐かしい街並みもまた上野の文化のひとつ。谷中ぎんざを訪れた際には、ぜひ探してみてほしい。
文/奥田高大 撮影/三吉史高
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- 谷中ぎんざ
JR山手線、常磐線、京浜東北線、日暮里・舎人ライナー、京成線「日暮里駅」より徒歩5分
東京メトロ千代田線「千駄木駅」より徒歩5
https://www.yanakaginza.com/※この記事は2020年3月現在のものです。